むにゅう。

タオルで髪を拭きながら千早があずさに声を掛けている。
「あずささん!あずささん!」
「千早ちゃん、もう少し…今いいところなんですぅ」
「駄目ですよ、幾ら小説が佳境だからって!」
「もー、あずささん、早くシャワーを浴びて下さい!体が冷えて風邪引いちゃいますよ!」

「我が胸は板流。板流は無乳無乳故に誰も触れられぬ!」


「あらぁ?千早ちゃん、胸が…」
「胸が?どうしたって言うんですか?」
「つん♪」

「ぬうんっ!」


あずさは迷い無く両手の人差し指で千早の胸をつっついた。
「あっ、あずささん、いたずらは止めてください!」

「ぐはあっ!」


千早は反射的に胸を両手で覆って背中を丸めた。
「うふふふ。千早ちゃん…ノーブラはいけませんよ?」

無乳は攻めに於いて威を発するが、受けに転じて威を失う…」


「しっ、仕方ないんです…今日は着替えのブラジャー忘れたんですから…」
千早は真っ赤に成って口ごもりながら弁明した。
「あらあら、忘れん坊さんね♪」


「亜美ちゃん、真美ちゃん、何の動画をアフレコしてるのかなあ?小鳥お姉さんに教えてくれませんか?」
「あっ、ピヨちゃん!な、何でもなーい!」
「真美達、今からお勉強が有るから…じゃっ!」
「さらばじゃピヨちゃん、皆の衆!あでゅー☆」


脱兎の如く、765プロ一の悪戯者双海姉妹はその場を逃げ出した…。


「うふふ…」
にこやかに微笑んで小鳥は亜美・真美の後姿を見送った。



次の日、パソコンの経理作業中、小鳥の動画共有サイトのブックマークを開いた律子に、何故かみっちり御説教を喰らう小鳥の姿が見られたと言う…。