765プロアイドル達が日本最大規模の大同人イベントに参加した様です。

コミックマーケット準備会からの緊急のお知らせ
違反した場合、該当する物品などは没収し、以後返却には応じません。没収に応じていただけない場合、入場をお断りさせていただきます

http://www.comiket.co.jp/info-a/C74/C74Oshirase.html

手荷物検査の上に、物品の没収って…。
運営が物品を「没収」出来る「法的根拠」を是非示して欲しいですね^^。
一時的に預かるなら兎も角、没収って…。
管理の手間が掛かるからでしょうけど、強圧的過ぎるのでは?

コミックマーケット準備会から「緊急告知その1」&「緊急告知その2」が出ました - GIGAZINE
なぜ手荷物確認を実施することになったのかという経緯についてですが、今年の7月以来、ネットなどでのコミックマーケットへの脅迫行為が複数あったことに加え、昨今の様々な事案がある状況において、当局(=警察?)より手荷物確認の実施について強い指導があったとのことです。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080809_comiket_c74_info/

成る程、手荷物検査をする手間は行政・警察からの要請が有れば対応しますが、参加者が困るで有ろう違反物品の没収は継続すると。


SS 「765プロアイドル達が日本最大規模の大同人イベントに参加した様です。」


双海亜美・真美は瓜二つの容姿を持つ双子の12歳の姉妹。
亜美はレフトサイドテール、真美はライトサイドテールのぴょんと立ち上がった丁髷の髪型が目印だ。
「うわー、めっちゃ大きい会場だねぇ、真美!天井がとっても遠いねー」
「うんうん、凄いね、亜美。お客さんはやくこないかなぁ〜」
其処へ、眼鏡を光らせ、お下げの18歳の少女、秋月律子
「はいはい、二人共、手が留守。口を動かさないで準備、準備!」
快活に声を掛け、作業を進行させる。


「うはー、真美さんや、此れは何のお宝?」
「おおっ、亜美さんや、此れは765プロ所属アイドル秋月律子さんの手作り同人誌だね!」
「限定85部のレアアイテム♪」
「然も、今時コピー本と言う手作り感たっぷり!」
「内容はナイスバディのアイドル達が色々と…むふふふふーん」


「こっ、こら、二人共、誤解を招く様な事は言わない!ふっ、普通の日常を…765プロアイドル達の普通の日常を淡々と描いた短編小説です!過度な期待はしないで下さい!」
「と、言う事は亜美達の話も有るの?」
「うっ、それは…」
「あー、真美も出演してるんだねっ!」
「まっ、まあ…」


「いい事、内容は本を買った人だけが知る事が出来るプレミアム本なんだから読んじゃいけませんっ!」
「ふーん、まぁ、そう言う事にして置きましょう、真美さんや」
「おお、亜美さんや、いい大人が手書き同人誌の内容を気にするものでもないですしのー」


「…うっ、あっさりと引き下がれると何か悔しい気がする…作家としては敗北かしら?…」
と律子は呟いた。


「うっうっー、こんなに凄い所、生まれて初めて来ましたぁー」
とは、ツウィンテールの13歳の小柄な少女、高槻やよい
双海姉妹と違い、真面目に準備作業の手を進めている。
「ほっ」「はっ!」「へへっ、こんなの朝飯前ですよ!律子さん」
と張り切ってるショートカットのまるで少年の様な快活な16歳の少女は、菊地真
段ボール箱を抱えて右に左に忙しそうに。
「あ、あれ?小鳥さん、伊織と千早ちゃんは?」
と質問して居る、左右にリボンを留めたヘアスタイルの16歳の少女、天海春香は、普段通り事務員服に身を包んだ765プロ事務員の音無小鳥に周りをきょろきょろ見回し乍ら問いかける。
「さあ、二人共何処へ行ったんでしょうね?」
と小鳥。
「あら、二人迷ってるんじゃないかしらー、広い会場ですし。私が迎えに行きましょうか?」
とは20歳と765プロ事務員音無小鳥を除いて最年長の三浦あずさが春香と小鳥に応じる。
「あふぅ、眠いから眠気覚ましの散歩がてらにあずさと一緒に捜しに行くの〜」
とは金髪に染めたロングシャギーヘアがトレードマークの16歳、星井美希
「えっ?だっ駄目です!あずささんと美希ちゃんの組み合わせは…もがっ」
「あはは、あずささんは、最年長の責任者ですから、此処に居てもらわないと困りますっ!で・す・よ・ねっ!小鳥さん!」
小鳥の口を手で塞ぎつつ、律子が其の場に割って入る。
「今日は雪歩が遅れて来る筈ですよね、小鳥さん?」
「千早と春香は雪歩のお迎えですよ」
「ぷはっ!」「えっとー、そうでした、忘れてました流石は律子さんです」
小鳥は律子に気圧された。
「と言う訳で、春香、千早の応援宜しく!」
と律子は春香に。
「はぁー、今日は多難な日の予感当たりそうね、こりゃ…」
と律子は思わず溜息を吐く。


「雪歩!雪歩ー!」
春香は、目的の人物を見付け駆け寄る。
「は、春香さん…」
ミディアムカットのヘアスタイルの16歳の少女、萩原雪歩は搬入口から大きな段ボールを三つ重ねて載せた運搬台車じたばた押してしている。
「うんしょ…うんしょ…」
「雪歩さん、何をしてるのですか?」
と冷静に質問をしてるのは、本格歌手を目指す15歳のロングヘアの少女、如月千早
「春香さん、千早さん、良い所に…」
と言った切り、雪歩は絶句し、其の場にへたり込んだ。


「誰も雪歩さんを手伝ってくれなかったのですか?」
と千早。
「ええー!それひどいですよー!」
と春香。
「大丈夫?雪歩?」「少し休みましょう…」


「日本有数の大イベントに参加って興奮しちゃいますよね!」
と勢い込む春香。
「そうですか?私はお仕事とは直接関係無い様な感じもするのですが…」
と返す千早。
「千早ちゃん、そんなんじゃ、アイドル失格だよ!ううん、ぱふぉーまー、表現者として失格!」
「えっ?」
「どんな場所でも私達アイドルはファンの皆さん、そして、私達を未だ知らない未来のファンの皆さんに見られてるの…、そして、自分達の表現する世界を創造する為に、少しでも多くの人に私達を知って貰わなきゃいけないわ…。CD、ラジオ、テレビ出演だけが私達の職場じゃないの!」
畳み掛ける春香。
「…そんな事考えてもみなかったです…きちんと歌さえ歌えば評価は後から付いて来ると…」
「駄目駄目!そんなんじゃ駄目だよ千早ちゃん!歌は自分自身を反映するんだよ!そして、誰かに伝えるって想いがない歌は誰にも伝わらないんだよ!千早ちゃんは自分が納得しない歌を歌える?」
「私が納得出来ない歌を歌うなんて有り得ません!」
少しムッとする千早。
「だよね!千早ちゃんは本物の歌手に成るんだもの。本物に成る為には、少しでも多くの想いを感じ取らなきゃ!」
「…凄いですね、春香さんは…そんなに歌に付いて深く考えてるなんて…」
「えへへ…千早ちゃんに誉められちゃった。全部プロデューサーさんからの受け売りなんですよ…」
春香ははにかみ、鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔に千早は成った。


「はぁ、やっと回復しましたぁー」
と雪歩。
「じゃあ、三人で段ボールを運びましょう!」
「あれ?何か段ボールから音が聴こえて来ますよ?」
春香は不審そうに段ボールに顔を近付ける。
ボムッ!
「おふっ!」
と同時に最上段の段ボールが弾け飛んだ!
「ムッキー!誰!誰なのこの可愛い、超絶愛らしい究極アイドル水瀬伊織ちゃんを寝ている間に段ボールに梱包したのはっ!」
大声で怒り狂ってるのは、ロングヘアーにカチューシャで前髪をオールバックに留めてる14歳の富豪の令嬢水瀬伊織


「…さあ…水瀬さんを梱包する勇気が有る人は765プロには居ませんから、段ボール搬入を手伝って貰った業者さんじゃないですか?」
「あわわ…春香さん、大丈夫ですか?」
と凍り付いた後我に返った雪歩は春香に駆け寄る。
「あたたた…お鼻打っちゃいました…」
ちょっぴり鼻声の春香。


此れで、765プロアイドル全員が同人大イベント会場に揃った。


此処は765プロ企業ブース。
律子はLaptopPC片手に次々と他のアイドル達に指示を与え、陣頭指揮に忙しい。


「ああ、思い出しました!」
と声を上げる雪歩。
「カメラカメラ…」
段ボールから大きなスポーツバッグを取り出し、パールホワイトのコンパクトデジカメを取り出す。
「私、カメラ持って来たんですぅ、今から皆さんの写真を撮りますね」
更にバッグをごそごそ雪歩はまさぐった。
「有りましたー!出番ですよ、一脚さん!」
大柄な一脚を取り出し、手馴れた様子でカメラを取り付け撮影を開始する。


「ちょっと、ちょっと、そこの人!」
何処からか声が掛けられる。
「警備」の腕章を付けたボランティアのイヴェント係員が雪歩に詰め寄った。
「貴方、カタログ読んでないんですか!」
「えっ?えっ?」
「此処は30cm以上の長さの長物は持ち込み禁止です」
「えっ!えっ!」
「即刻会場を退去して頂くか、さもなくばこの一脚は没収致します」
「えっ!えっ?」


「あちゃー!目を放した隙に…」
律子は思わず。


「い、嫌ですっ!没収なんて…この一脚は大切なものなんです」
「ルールはルールです。企業ブースの参加者でも参加者で有る以上、ルールには従って貰います」
「会場を退去するか、没収に応じるか、二つに一つです」
と係員はにべもない。
「退去したらお仕事が出来ません!」
「ルールはルールですから」


「分かりました。一脚の没収に応じます。」
「ええっ!律子さん!」
「ご協力有難う御座います。では」


「律子さん、勝手に没収に応じるなんて酷いですぅー」
「非常時なんだから仕方ないの。一寸雪歩耳を貸して…」
何やら雪歩に耳打ちをする律子。


「皆さん、準備はいいですかー!申し遅れました、私765プロで事務等を担当している音無小鳥と申します…」
765プロ名物と成った小鳥のMCの名調子が始まり、765プロアイドル達のミニライヴが始まる。
たった五曲だけのミニライヴだが、盛況だ。
最後に全員でTHE iDOLM@STERを歌い上げて、律子が挨拶のマイクを取った。


「皆さん、私達の歌を聴いて下さって有難う御座います。イベントは大いに盛り上がってますね!感謝します」


迎えのバスにアイドル達は乗り込み帰路に付く。
席に座る雪歩は視線が泳いで何か不安そうな面持ちだ。
「雪歩っ!」
「はうっ!」
吃驚する雪歩の眼前に春香の笑顔が有った。
「お待たせ、雪歩!」
と律子。
「じゃじゃーん!」
春香の手にはには雪歩の一脚が有った。
「ああ、父からから譲り受けた私の大切な一脚なんです…」
いとおしそうに、一脚を雪歩はぎゅっと抱きしめた。


「でも、一体如何やって…?」
「此れなーんだ?」
と春香。
手には「警備」のイベントボランティア係員の腕章。
「あ…」
雪歩は呆気に取られた。
「他の人には内緒ですよ?」
と悪戯っぽく春香はウィンクをした。
「プロデューサーが事前にトラブルを想定して対策をしてたって事。規制内容から起こり得るからって…あの人、案外こう言う事には頭切れるのよね」
律子は自分自身に語り掛ける様に雪歩に説明をした。



「さて、皆さん、雪歩の一脚は無事に雪歩の元に帰って来ました。でも、こんなに厳しい対応をしないと運営出来ないイベントって普通なんでしょうかね?毎回の決まった決まり事だから当たり前?運営の苦労を考えてみろ?イベントは皆の物なのに、誰かの悲しみを当たり前の犠牲として受け入れなきゃ成らないっておかしいと思いません?」


「没収は刑事事件で日本国では日本国国家だけが行える特別な法に定められた行為です。かの第三者所有物没収事件判決でも告知・聴聞の機会を与えない関税の没収は違憲との判決が出てます」
「没収の要件を満たす法令は刑法197条の5、関税法118条、酒税法54条4項、麻薬及び向精神薬取締法69条の3、大麻取締法24条の5、覚せい剤取締法41条の8、銃刀法36条、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律組織的犯罪処罰法)、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)16条ないし18条です」


市民社会において、私権の侵害は可能な限り避けなければ成りません。それはイベント運営においても同じです。」
「私権の基本たる、所有権、占有権の侵害に運営者側の没収は該当します。危機管理体制の維持に物品の没収が有効たる実証もなしに漫然とルール違反に対し没収を前提としたイベント運営が行われてる事に自由主義社会日本国民として私は危惧を抱きます」
「そもそも、従順にルールだからと物品の没収に応じる参加者が違反行為を行うと思います?況してや犯罪行為を?」
「犯罪を行う意図の有る犯罪者は没収に応じないと思いますし、イヴェントのボランティアじゃ手に負えないです。更に本物の犯罪者なら、巧妙に犯罪に必要な道具を隠して会場に持ち込みますよね」


「管理に難が有る、食品・飲料の類なら兎も角、全ての物品に対し一律没収の運営方針はお・か・し・い・で・す・よ」
「没収じゃなくて、運営側の一時預かりの形にすればいいのです」
「運営スタッフの負担が大き過ぎるですって?将に運営の為の運営。参加者の便宜を考えて無い証拠です。」
「物品の一時預かりに依るコスト増は参加者全員にカタログ料金の上乗せで転嫁すればいいのです」
「自由の為のコストです。コストを削って参加者に大きな負担を要求するのは明らかに間違いです」
「規制されるのは一部の不心得者の一般参加者だけ。良心的な普通の参加者は規制対象に決して成らないと…そう安心・確信されている方も多いでしょう」


「一見自由に溢れた日本社会ですが、自由を喪う社会の綻びは案外こんな処から始まるかもしれません。安全・安心を求めて、規制に汲々とする余り、何時の間にか、全体主義国家の住人に成ってるって事に成りません様に…。其れが私の願いです」
「長々と御清聴頂き有難う御座いました」


一礼をして、律子は去った。


作者より一言。
何処の世界も運営はめっためったに批判されるのが普通です。
一日20万人集まる日本一の大規模同人イベントの運営方針が余り議論に成ってないって言う事の方が事の在り方としては不健全だと思いました。