東芝、CellのSPE(Synergistic Processor Element)4基搭載画像処理チップSpursEngineカードを東芝セミコンダクター経由でリリースの予定。

http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/07/30/qosmio/index.html


的場 もともとCellプロセッサ(※1)をパソコンの中に入れようというのが、発端だったんです。しかし、消費電力が高すぎて、そのままでは入りきらないと。そこでコアを9個から4個に減らし、担当させる分野を主にAVに絞りました。それでもまだ消費電力が高かったので、デコーダーとエンコーダーチップを別途用意し処理を分散させることで、ようやく低消費電力と高速処理を両立させることができたんです。


──すると、SpursEngineの核となる機能は、ビデオ処理ですか?


的場 そうですね。特に、SD画質の映像ソースをHD映像に近づけるという「アップコンバート」技術が核になっています。SpursEngineでは、単に中間色を補間するのではなく、画像の自己同一性という特性を使って緻密な映像を作ります。これは、ひとつの画像の中には必ずある類似する箇所を引用する技術です。たとえば、木の映像で枝を精密に表示したかったら、映像内の別の木のところから類似のパーツを見つけて、それを当てはめるわけです。SpursEngineはその処理をドット単位で瞬時に行って、画像を精密に見せています。


──では、数ある新機能のうち、アップコンバート以外で、特に他社製品と比較してほしいものを教えてください。「ここを比べたら、絶対違いが分かる」という点を。


的場 一番比べやすいのは、ビデオカメラ動画の編集時ですね。現在、多くのメーカーがAVCHD形式のHDビデオカメラを投入しています。その録画データをPCに取り込んで編集し、ビットレートを変換してDVDに焼くという作業をすると、普通は非常に時間がかかります。しかし、Qosmio G50なら、公称で2倍の速さで処理できます。動画形式の変換作業だけなら、10倍の速さですから。しかも、CPUの負荷が低いので、他の作業と併行できます。


──トランスコード時、実際のCPU負荷はどれくらいなんですか?


的場 若干波がありますけど、CPU使用率はだいたい30%以下になるようにしています。3割程度の負荷であれば、別の作業も快適にできるだろうと考え、目標値にしました。7〜8割になると段々動作が重くなりますからね。今までのPCで同様の処理をすると、 100%近い使用率になってしまいます。それではほかのソフトを起動して使うのは厳しい。


的場 東芝セミコンダクター社経由で、そうしたデスクトップPC用のSpursEngineカードを出荷することは考えています。自作CP用のカードは、ボードメーカーさんと色々協力して出すことになると思いますね。秋葉原に並ぶ日も、結構近いんじゃないでしょうか。価格は分かりませんが、ミドルクラスのグラフィックスカード程度になると思いますよ。


──それは反響を呼びそうですね。自作マシンで、高速なトランスコードができるわけですね。

http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/07/30/qosmio/index.html

東芝、CellのSPEを搭載したストリーミングプロセッサ「SpursEngine」
株式会社東芝は8日、Cell Broadband EngineのSPEコアを4基搭載したメディアストリーミングプロセッサ「SpursEngine SE1000」をサンプル出荷開始したと発表した。サンプル価格は10,000円。
SpursEngineはSPEに加え、フルHDMPEG-2/H.264のハードウェアエンコーダとデコーダを搭載したプロセッサ。コア周波数 (1.5GHz)やSPEの数はPLAYSTATION 3よりも下げられているが、消費電力は10W台に抑えられており、エンターテイメントPCはもとより、デジタル家電製品への組み込みも狙う。
今回、リファレンスキットとして、SpursEngineを搭載したPCI Express(x1スロット)カードと、ソフトウェア開発者用の基本ソフトウェア群のセットも提供開始する。
(2008年4月8日)

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0408/toshiba.htm

http://www.dynabook.com/pc/dyna_sp/spurs/story2.htm
SpursEngine^(TM)には、非常に高速な演算能力が求められていました。ハードディスクに保存されているHD映像は、1秒間につき17Mbit 程度の大きさに圧縮されていますが、表示するためにCPUやGPUで展開した後の映像データ量は膨大になります。動画はコマ落ちがわかりやすいので、性能が足りないPCだとカクカクとした映像になってしまうのです。この膨大なデータをリアルタイムで処理するために、Cellの技術を採用しました。


Cell は8つのコアを持つ高性能チップですが、その消費電力と発熱はノートPCに内蔵できる許容値をはるかに超えてしまいます。そこで、消費電力と発熱を抑えるため、Qosmioに搭載するSpursEngine^(TM)は、コアを4つに減らしました。動作周波数もほぼ半分に抑え、10W台という低消費電力を達成しました。しかし、それでは納得する性能が出ません。そこで技術者たちが考えたのが、性能の低下を補うために、DVDビデオ等で採用されているMPEG2と H.264形式のビデオデコーダ回路(動画を展開する専用の回路)とビデオエンコーダ回路(動画を圧縮する専用回路)を搭載することです。その結果、HD 映像の変換と分析を同時に処理できる高い能力と、低消費電力の両立が実現したのです。

http://www.dynabook.com/pc/dyna_sp/spurs/story2.htm

漸く、Cell派生技術のPCへの展開が始まりました。
ノートPCよりデスクトップPCの方が当然画像処理の需要が大きいですから、SpursEngineカードこそPCへのCellのSPEアーキテクチャ普及の大本命です。
と申しましょうか、現状、SpursEngineの電力消費量が大きくて、ノートPC内臓バッテリーでの駆動が現実的でなく、SpursEngineは事実上、デスクトップ向けの画像処理チップです。
何故、ノートPC内臓バッテリーでの駆動に向かないデスクトップ向けの画像処理技術をノートPCに東芝は搭載したかと申しますと、理由は簡単、東芝はデスクトップPCを製造販売してなく、製造販売はノートPCだけだからです。
単機能チップのデコーダ・エンコーダチップの方が単機能故、CellのSPEより電力消費量が少ないと言うのも象徴的です。


因みに、SpursEngineはPPE(PowerPC Processor Element)が無いので、Cellとは仕様上呼べません。


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